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水戸芸術館に行ってきましたー

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みなさんこんにちは。
水戸市にありますヘアサロンDELFONICAのミヤモトです。

今日は休みだったので、友人からもらったチケットで水戸芸術館の現代美術ギャラリーで開催されている『坂 茂 建築の考え方と作り方』を見に行ってきました。

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行動する建築家、坂茂さんの初の大型個展となる今回の展覧会ということで建築物好きの僕としては行く前からとても楽しみにしていました。

入るとすぐに紙でできたミニマムな茶室があり、掴みはOK、いきなり琴線に触れた感じでワクワクしてしまいました。
今回とくに事前の情報収集はせずに行ったのですが、フランスの美術館『ポンピドゥーセンター・メス』の柱脚の模型や建設風景、東日本大震災で多大な被害のあった宮城県女川町の被災者の為に建てられたコンテナ仮設住宅『女川町仮設住宅』の実寸模型など、以前どこかで目にして気になっていたこれら二つの建物がどちらも坂さんの設計によるものだったのはちょっと驚きでした。
この二つの建物、建てられた目的も規模もそして見た目の印象もまるで違うのに何故か惹かれる共通点があるように感じるのです。一体その共通点とは何だろう?と考えながらみていたときに、彼の他の作品にも言えることだと思うのですが、なにかある種の『日本人的な感覚』が滲みでていることに気がつきました。
それはどういう感覚かというと、彼の作品にはいい意味での『軽さ』があると思うのです。
日本の建築は昔から家の中と外との境界を曖昧にする縁側や土間などがあり、
移り行く四季を楽しんだりする感覚があると思います。
対して欧米の建築物などはわりと外界と内側の世界をはっきりと区切って、住まいをシェルターのように機能させているような印象を個人的には受けます。
この対照的な二つの感覚の違いがなんとなく僕の思う日本人のもつ軽さなのかなと思いました。
この軽さは使う素材にもあらわれていて、日本の建造物には昔から木や紙などが積極的に使われてきました。これらの素材は生産も加工も取り替えも比較的簡単でリフィルとしては最適だと思います。障子や襖や畳などがまさにそれらの代表で、調湿機能などにも優れているし、外側と内側との程よい距離感のバランス、また隣室にいる人の気配などを感じて配慮するといった『空気を読む』というのでしょうか、そういう独特の感覚もこれら日本建築の中で育まれて行ったものなのかなと思いました。

僕がよく日本人で良かったなと思うのは、こういう「これでいいじゃん」っていう必要最低限のそれ以上求めないでいられる感覚というのでしょうか、「良い塩梅」とか「足るを知る」などという言葉がありますが、そういう感覚をわりと皆共通の感覚として持ち合わせているんじゃないかなという気がすることがたまにあるからです。(実際にそれを常に実行できているかどうかは別として)


今回とくにおもしろいと感じたのは、彼は災害支援プロジェクト活動をしていて難民キャンプ用のシェルターや災害支援の仮設住宅なども積極的につくっているのですが、仮設故の軽さというデメリットを逆手に取ってその軽さを楽しんでしまうような印象を受けたことです。

3.11で信じられないような悲劇を経験しても、それでもなんとか乗り越え前向きに生きて行ける被災地の方々の強さの秘密は、そういった日本人のもつ軽さの感覚のようなものも無関係ではないのかな?とこの展覧会を通して思いました。

ひとそれぞれ作品から受ける印象は違うと思います。
とくに何も考えずにみても、建築にさほど興味がなくても坂さんの作る
建築の幾何学的な構造の美しさなどは一見の価値あると思います。
是非近くにお住まいの方は水戸芸術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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